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本☆小林秀雄「モオツッアルト・無常という事」

今週金曜日は読書会である。
今月の課題本は小林秀雄「モオツッアルト・無常という事」
(目次)
モオツッアルト・当麻・徒然草・無常という事・西行・実朝・平家物語・蘇我馬子の墓・鉄斎Ⅰ・鉄斎Ⅱ・鉄斎Ⅲ・光悦と宗達・雪舟・偶像崇拝・骨董・真贋


(参考)サイト抜粋
小林秀雄
日本の近代批評の確立者であり、西田幾多郎と並んで戦前の日本の知性を代表する巨人であり、戦後も保守文化人の代表者であった。いわゆるフランス象徴派の詩人、ドストエフスキー、志賀直哉らの文学、ベルクソンやアランの思想に大きな影響を受ける。本居宣長の著作など近代以前の日本文学にも深い造詣と鑑識眼を持っていた。



自分自身が信じる(感じる)美の追求、
音楽、美術、歴史、文学等、膨大な知識と鋭い審美眼で
提示、批評していく内容は圧巻。

一応読みましたが、大家の批評美学の感想なんて・・・
「はははぁ~」とただただひれ伏すのみm(__)m

本☆小林秀雄「モオツッアルト・無常という事」_a0187426_2025534.jpg


m(__)mひれ伏したまま何を語ろうか・・・
「白洲正子の世界」の中で正子が彼について書いている。
白洲正子、青山二郎との深い親交と骨董について話そうか。
それとも能楽について書いているところをピックアップしようかな。

各編で言葉を変えながら語られる、彼の美についての持論をアウトプットしようかな~。
まだまだ考え中。。。


16編の中、能楽鑑賞後の感想を書いた「当麻(たえま)」からの抜粋です。
もしご興味のある方は、小林批評美学を少しだけお楽しみ下さい。

当麻
梅若の能楽堂で、万三郎の「当麻」を見た。
僕は、星が輝き、雪が消え残った夜道を歩いていた。何故、あの夢を破る様な笛の音や太鼓の音が、いつまでも耳に残るのであろうか。夢はまさしく破られたのではあるまいか。白い袖が翻り、金色の冠がきらめき、中将姫は、未だ眼の前を舞っている様子であった。それは快感の持続というようなものとは、何か全く違ったものの様に思われた。あれは一体何んだったのだろうか、何んと名付けたらよいのだろう、笛の音と一緒にツッツッと動き出したあの二つの真っ白な足袋は。いや、世阿弥は、はっきり「当麻」と名付けた筈だ。してみると、自分は信じているのかな、世阿弥という人物を、世阿弥という詩魂を。突然浮かんだこの考えは、僕を驚かした。

 
(中略)

 中将姫のあでやかな姿が、舞台を縦横に動き出す。それは、歴史の泥沼から咲き出した花の様に見えた。人間の生死に関する思想が、これほど単純な純粋な形を取り得るとは。僕は、こういう形が、社会の進歩を黙殺し得た所以を突然合点したように思った。要するに、皆あの美しい人形の周りをうろつく事が出来ただけなのだ。あの慎重に工夫された仮面の内側に這入り込むことは出来なかったのだ。世阿弥の「花」は秘められている、確かに。
 現代人は、どういう了見でいるから、近頃能楽の鑑賞というようなものがはやるのか、それはどうやら解こうとしても労して益のない難問題らしく思われた。ただ、罰が当たっているのは確からしい、お互いに相手の顔をジロジロ観察し合った罰が。誰も気が付きたがらぬだけだ。室町時代という、現世の無常と信仰の永遠とを聊かも疑わなかったあの健全な時代を、史家は乱世と呼んで安心している。
 それは少しも遠い時代ではない。何故なら僕は殆どそれを信じているから。そして又、僕は、無要な諸観念の跳梁しないそういう時代に、世阿弥が美というものをどういう風に考えたかを思い、其処に何の疑わしきものがない事を確かめた。「物数を極めて、工夫を尽して後、花の失せぬところをば知るべし」。美しい「花」がある、「花」の美しさという様なものはない。彼の「花」の観念の曖昧さに就いて頭を悩ます現代の美学者の方が、化かされているに過ぎない。肉体の動きに則って観念の動きを修正するがいい、前者の動きは後者の動きより遥かに軽妙で深淵だから、彼はそう言っているのだ。不安定な観念の動きをすぐ模倣する顔の表情の様なやくざなものは、お面で隠して了うがよい、彼が、もし今日生きていたなら、そう言いたいかもしれぬ。
 僕は、星を見たりして夜道を歩いた。ああ、去年(こぞ)の雪何処にありや、いや、いや、そんなところに落ち込んではいけない。僕は、再び星を眺め、雪を眺めた。
(「文学界」昭和十七年四月号)



この文章に私がどうこう感想を述べるなんてできないのがわかるでしょ(汗)

当麻で度々登場した世阿弥。彼の書いた秘伝書「風姿花伝」 
「秘すれば花なり、秘せずば花なるべからず」
当麻を読んでいたらまた読み返したくなったわ。

能楽だけに留まらず、あらゆる表現の美学に通じているかと、
これは現代語の新訳だから読みやすいし、面白いしおススメです(^^)
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現代語訳 風姿花伝 世阿弥 PHP研究所

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備忘録【平成24年 読書会参加課題図書】
10月・・・第59回 小林秀雄「モオツッアルト・無常という事」
9月・・・第58回 アンドレ・ブルトン「ナジャ」巖谷國士訳
4月・・・第53回 ハーマン・メルヴィ訳:柴田元幸「書写人バートルビー―ウォール街の物語」
3月・・・第52回 カズオ・イシグロ「日の名残り」
2月・・・第51回 三島由紀夫「金閣寺」
by mimoza1105 | 2012-10-24 20:39 | 本・ライブ・映画・jazz

日々の彩り徒然なるままに


by mimoza1105